この年、鹿児島実が第63回センバツ大会に連続出場しベスト8入り。さらに夏の甲子園でもベスト4に進出し”鹿実黄金時代”を現出した。県内の高校球界も燃え、あすへの希望を大きく膨らませた一年であった。
鹿実、甲子園3季連続ベスト8
センバツ大会に同一校の連続出場は県高校球界では初めてのこと。鹿実のセンバツ出場は4回目。春夏通算では14回目の甲子園出場。
鹿実は1回戦で東邦(愛知)と対戦。5-5の同点で迎えた延長10回、鹿実は打者一巡の猛攻で3点を奪い、一気に勝負を決めた。
2回戦の学法石川(福島)戦は、石川・川越投手に15安打を浴びせて攻略、準々決勝へ進んだ。
対戦相手は広陵(広島)。鹿実は序盤、思い切りのよい広陵にほんろうされ後半、必死の反撃を試みたが、広陵・小土居投手に封じられベスト4入りを阻まれた。
春は鹿商工が5季ぶり優勝
春の九州大会県予選は、2回戦で川辺が大口に逆転サヨナラ勝ち。3回戦の鹿商ー国分戦は鹿商が国分の善戦に苦しみ、延長11回の末にやっと逃げ切った。
決勝は鹿商工ー鹿商戦。鹿商工が3-3で迎えた最終回、柳井谷の満塁本塁打で勝ち越し、5シーズンぶり14度目の優勝。
長崎での第88回九州大会には鹿商工、鹿商と推薦の鹿実が出場。
鹿商と鹿実は1回戦で敗退したが、鹿商工は海星、熊本工を退けて準決勝に進出、福大大濠と対戦した。試合は打ち合いとなり延長14回までもつれ込んだが、鹿商工は球運つたなく9-7で敗れた。
第33回NHK旗争奪大会には16校が参加。決勝で鹿実が7-3で鹿商を圧倒し、2年ぶり5度目の優勝。
鹿実、県勢5年ぶり甲子園ベスト4
夏の全国選手権県大会は、最多の85校が参加。この年の4月に開校した池田が初出場、離島の古仁屋が6年ぶりに復帰した。
準決勝は鹿商工が鹿商を投打に圧倒して快勝、鹿実も集中打で鹿屋工を制し、決勝は7年ぶり鹿商工ー鹿実の対決に。試合は鹿実が中盤に主導権を奪い、粘る鹿商工の反撃をかわして7-3で圧勝、2年連続11度目の優勝を決めた。
甲子園出場の鹿実は2回戦で旭川工と対戦。味園博和の2打席連続ホーマーなどで初戦を5-3でものにした。
3回戦の相手は桐蔭学園(神奈川)。試合は追いつ、追われつのシーソーゲーム。しかし鹿実は最終回、主砲・下薗朋裕の中堅越え打でサヨナラ勝ち。
準々決勝の市川(山梨)戦では、3点を先行された鹿実が、大会屈指の市川・樋渡卓哉投手を5回に打ち崩して大量7点を取って逆転、そのまま逃げ切って鹿児島県勢としては昭和61年の鹿商に続いて5年ぶりベスト4入りを果たした。
準決勝は大野倫投手を擁する沖縄水産との顔合わせ。打ち合いとなり、鹿実の看板の桜島打線も終盤に爆発、1点差まで追い上げたが、前半の失点が重く、わずかに及ばず悲願の決勝進出は、またもならなかった。しかし敗れたとはいえ、中釜章平右翼手のジャンプ捕球、竹脇賢二左翼手のフェンス際の捕球などの美技はファンを魅了、県民の心も酔わせた。
秋は大口が11年ぶりベスト4
秋の九州大会県予選は、3回戦で松陽が名門鹿商に逆転勝ち。準々決勝では大口が鹿工に逆転サヨナラ勝ちし、11年ぶりベスト4入り。
決勝は鹿商工が4-3で鹿実に競り勝ち、春秋連続15度目の優勝。
大分での第89回九州大会には鹿商工と鹿実が出場。1回戦で鹿実は柳ヶ浦(大分)を逆転サヨナラで下したが、2回戦で常磐(福岡)に敗れた。
一方、鹿商工は2回戦で国見(長崎)を全く寄せ付けず完封勝ち。しかし準々決勝の佐賀商(佐賀)戦では佐賀商・森永投手を打ち崩せず、1点差に泣いた。
県高野連は15年間、高野連のために尽くした加藤正徳(鹿児島工)、庵下紀親(審判団)、谷口光則(同)の3氏を功労者表彰した。
1991(平成3年)主な選手と進路
1991年 | 海老原優 | 鹿児島→川崎製鉄水島 |
楠元吾郎 | 鹿児島玉龍→早稲田大 | |
下薗朋裕 | 鹿児島実業→三菱重工長崎 | |
西秀人 | 鹿児島実業→東邦ガス | |
川畑瑞穂 | 鹿児島実業→熊谷組→JR九州 | |
竹脇賢二 | 鹿児島実業→新日鉄名古屋 | |
俣瀬直樹 | 鹿児島実業→大阪ガス | |
味園博和 | 鹿児島実業→専修大→デュプロ | |
山本信也 | 鹿児島商業→日本石油 | |
加塩龍一 | 鹿児島商工→王子製紙春日井 | |
柳井谷隆 | 鹿児島商工→九州国際大 | |
一住連俊久 | 出水中央→ | |
青木和義 | 出水中央→九州産業大→西武→広島 | |
清水祥和 | 武岡台→JR九州 |
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