1997(平成9年)春は鹿玉龍が26年ぶり優勝|夏は鹿実が奇跡の大逆転劇|川内、宿願の九州大会初進出

前年は鹿児島実の初優勝にわいたセンバツ大会だったが、この年の第69回大会に鹿児島県勢は選考されなかった。決勝は天理(奈良)が中京大中京(愛知)に打ち勝って初制覇した。

春の県大会は鹿児島玉龍が26年ぶり優勝

春の九州大会予選は3月26日に開幕。

志布志実は期間中の4月1日付で校名を尚志館に改めたため、2回戦までは旧校名、3回戦からは新校名で戦うことになった。その尚志館が4強入りを果たした。同校にとっては春、夏、秋の大会を通じ、志布志実時代を含めても初めての快記録である。

4回戦では川内が第4シードの鹿児島実を延長16回の激闘の末に破る波乱があった。川内勝利の軸になったのは、投手の木佐貫洋。長身から投げ下ろすストレートを武器に16回を投げ抜き、チームを勝利に導いた。この対戦では鹿実の杉内俊哉もリリーフ投手として登板した。木佐貫、杉内の「同年ピッチャー」は以降も好敵手としてしのぎを削ることになる。

決勝には樟南と鹿児島玉龍が勝ち残った。鹿玉龍は、指を故障したエース船川卓哉に代わって控え投手の小島幹弘が登板。樟南を散発4安打に抑える一方、打線は手堅い攻めで小刻みに得点、4-0で優勝した。鹿玉龍の県大会制覇は、1971(昭和46)年の夏以来26年ぶり。

【決勝 鹿児島玉龍ー樟南】樟南を完封する好投を見せた鹿児島玉龍の小島幹弘投手 =県立鴨池

第100回の九州大会(宮崎市)の県代表・鹿玉龍は2季ぶり21度目、樟南は5季連続29度目の出場。鹿玉龍は、初戦の鳥栖(佐賀)に11安打、機動力なども絡めて得点を重ね、ベスト8に進んだ。準々決勝は浦添商(沖縄)と対戦。初回に浦添商の速攻にあって出端をくじかれ、打線が湿って1-3で敗れた。樟南は初戦の沖縄水産でヒット数などはほぼ互角ながら、得点圏の走者を生かす決定打が出ず2-6で涙をのんだ。

NHK旗はれいめいが9年ぶり2度目の決勝進出

第39回NHK旗争奪大会は、れいめいが9年ぶり2度目の決勝進出を果たし、樟南と栄冠を争った。樟南が三回にもぎ取ったトラの子の1点を守り切り、3年ぶり13度目の優勝を飾った。両校は春の九州大会予選準決勝でも対戦しており、れいめいにとっては雪辱戦だったが、成らなかった。

夏の県大会決勝は鹿実が9回大逆転で甲子園へ

夏の全国選手権県大会は86校が参加。県立鴨池球場が改修中で使えず、鴨池市民球場に伊集院球場を併用しての開催になった。

池田が1回戦で笠沙に勝ち、夏の大会初の1勝を挙げた。創部7年目での悲願達成。

加治木のエース瀬尾は、初戦で7回参考ながらノーヒットノーランを達成した。伸びのあるストレートを主体にした投球で、大島工打線を寄せ付けなかった。

各校の実力が伯仲して「本命不在」といわれた大会で、決勝には第2シードの鹿玉龍と第4シードの鹿実が進出した。両者の決戦は1971年以来、26年ぶり4度目。試合は逆転に次ぐ逆転の展開。序盤に8-2の優位にたった鹿実を鹿玉龍がじわじわ追い上げ、八回終了時は11-8と逆に鹿玉龍がリード。土俵際に追い詰められた鹿実は九回表、敵失にも乗じて集中攻撃をかけ、5点を奪って鹿玉龍の追撃を振り切った。13-11、両軍2ケタ得点は県大会決勝では初めて。負けチームの過去の最多得点は7点。勝ちチームの最多得点は22点が記録。

【1997夏決勝】鹿児島実ー鹿児島玉龍
【決勝 鹿児島実ー鹿児島玉龍】9回表、鹿実2死一、二塁。岩切の中前打で同点とし、さらに送球のそれる間に一走吉永が逆転のホームイン。捕手田村 =鴨池市民

鹿実2年生エース杉内俊哉が甲子園デビュー

第79回全国選手権には、前年に続いて鹿実が出場、1回戦は浜松工(静岡)と当たった。鹿実は五、六回に1点ずつ取って主導権を握ったかにみえたが、それまで好投の2年生エース杉内が七回に突然崩れて4点を失い、初戦で敗退した。

この大会から開・閉会式の司会進行や選手先導役を高校生が担当。大会は高校生主体の色彩が濃くなった。

秋の九州大会は川内が初の県代表に

秋の九州大会県予選は、春に続いて川内ー鹿実が準々決勝でぶつかり、またも激闘を演じた。川内・木佐貫、鹿実・杉内の緊迫した投手戦になり、1-1で延長戦に入った。川内は十二回、一死一、三塁から木佐貫の中前適時打で決勝点を挙げ、春の「借り」を返した。杉内は18奪三振を奪う力投ながら勝利には結び付かなかった。

川内は準決勝でれいめいを下し、宿願の九州大会出場を決めた。

決勝は樟南ー川内。序盤に3点先取の樟南と川内が追撃する展開になった。樟南は3投手の継投と堅守で川内をかわし、3-2で3季ぶり20度目の優勝を手にした。

第101回九州大会は沖縄・那覇市で開催。本大会初出場の川内は、第1戦で春の大会覇者の長崎日大と対戦した。三回に先制したものの、長崎日大の追い上げを止められず、1-3で初戦敗退した。

樟南は沖縄尚学にシーソーゲームの末競り勝って8強入り。準々決勝の対東福岡は、初回の3失点でリズムを崩し、再三の得点機に打線がつながらず準決勝には進めなかった。

軟式決勝は鹿実が乱戦制し2連覇

第42回全国軟式大会予選決勝の鹿児島実ー鹿児島商は、三回途中から雨が降り始め、両軍合わせて四死球が33という大荒れ。3時間40分もの長時間ゲームの末、鹿実が20-17の逆転勝ちを収め2連覇した。

1997年(平成9年)主な選手と進路

飯山裕志れいめい→日ハム
瀬尾宏二加治木→亜細亜大
新保大輔鹿児島玉龍→三菱ふそう川崎→三菱重工名古屋
川田勝鹿児島玉龍→九州国際大
岩切信哉鹿児島実業→崇城大
新屋勝利鹿児島実業→JR九州
本村敏幸鹿児島実業→東邦ガス
和田龍一郎鹿児島実業→崇城大
川井田雄紀鹿児島商業→いすゞ自動車
加治勇樹枕崎→福岡工大

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